夢追い旅 夢の種
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夢の種

 酒をかなり飲んだ人なら、こんな記憶があるかもしれない。
 ぐてんぐてん酔うと、人間は、ある程度個人差はあるが、どうも本能が優先されるようである。日頃心の奥底で眠ってしまっていることが無意識に口についてきたり、暴力的になったり、性欲が爆発したりする。それが本来の自分なのかよく分からない。そして記憶が混濁しているうちに、我が家にたどり着いて目を覚ますのである。
 ある時から こんな不思議な記憶に取りつかれてしまったのである。私の家は大阪にあるのだが、大阪にも東京の山手線のように、円を描いて走っている鉄道がある。その大阪環状線の駅の一つの京橋という駅で降りて、私鉄に乗り換えて20分というところにある。
 ある日、いつものように酒を飲んで、天王寺の駅で同僚に手をあげて列車に乗り込んだ、その記憶はあるののだが、そこからの記憶が全く飛んでしまっている。大阪環状線も内回りと外回りがあって、どうもどちらに乗ったのかも怪しくなっている。無限の円周運動を続けているような錯覚がある。
 ひょっとしたら私のほかにも、こうした不思議な記憶をした人も多いかもしれない。端々の途切れ途切れの記憶では、目が覚めて慌ててホームに降りているのである。それは時として玉造であったり、大正であったりするが、自分がどちら回りに乗っているのかが判断できず、延々と京橋にたどり着くことがない。半ば諦めに似た気持ちで列車のソファーの虜になる。ピリオドがない円周運動ほど恐ろしいものはない。もし、一日が25時間あるとしたら、私は永遠に環状線を回る人生を送るかもしれない。これは漠然としているが、いずれその時間の谷間に陥るのではないかという、恐怖心が心の片隅にしっかりと根を下ろしたように思うのである。
 
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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