夢追い旅 密室

密室

 カオルのお腹が目立つようになってきた。今日は団長が病院に付き添っている。ホワイトドームは誰がいなくてもお客が番をする。周平はカオルの写真を撮りだしている。生まれてくる子供に見せる母親の写真と周平の写真だ。どういうわけか団長は反対もせずにシャッターを押してくれたりする。
 サングラスの太田黒は日本から姿を消したようだ。
 周平は朝からSハウスに赤坂の売買の交渉に出かけていることになっている。どちらに転んでもこの件は旗手社長が時期を握っている。
 周平は昼過ぎにネクタイを締めてNビルに行く。旗手社長が盛岡から戻ってくるのである。黒崎も小林も呼ばれている。
 ミーはよそよそしく周平の紅茶を入れて部屋をさがる。
「専務から連絡が入ったが、不動産子会社の上場はほぼ決まったようだ。いよいよ赤坂の処理を始めなければならなくなったよ」
 機嫌がよい。
 だが華々しい舞台にはここにいるものは上がれない。すべて黒子だ。
「赤坂がらみはこの際すべて小林君のところに移してくれ。金がいる。赤坂か未公開株かどちらかで資金を作る」
「M商事も腹をくくったと思います」
 率直な意見を述べる。
「だったら1度Sハウスに指値をさせれば?」
「いくらで?」
「10分の2の200億でどうだろ?」
「それでは」
「計算ではどうなる?今までの儲けと差し引いて会長が食ってしまった200憶だけが食い込むじゃないか」
 旗手社長は計算をしているのだ。黒崎さんそれでM銀行と話をして下さい」
「S銀行のほうは?」
「Sハウスの新規貸し付けの方がメリットは大きい。それにS銀行の頭取はこのからくりはお見通しだから」





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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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