夢追い旅 ラインを外れる

ラインを外れる

 マドンナの退職届で社内は持ちきりだ。
 轟から昨夜マドンナのいう熱海のホテルの状況の確認が取れたという報告と、今朝はマドンナがマンションを引っ越しを終えたとの連絡が入った。彼女の引越先はマキに聞けば心配ない。
 突然慌てた声で舅から内線が入り、不動産事業部の個室に呼ばれる。
「どうしたのです?」
 舅らしくない取り乱し方である。
「マドンナが・・・」
「本人から話はなかったのですか?」
「留守電が入っていた。それで朝一番マンションを覗いてみた。もぬけの殻だ」
「柳沢は?」
「先ほど会社に電話を入れた。向こうも慌てていた」
 周平は少し意地悪く、
「どんな話し合いになっていたのです?」
ととぼけて聞いた。
 舅は吸いさしの煙草を荒々しく揉み消す。
「入籍の準備もしていた。マンションも買った。後は柳沢を葬るだけだった」
「柳沢のところに行ったのでは?」
「それはない」
「親子ほど年が違うんですよ?余程彼女自身が愛していないと難しいように思いますが」
 昔の舅にこんな口をきくことはできなかった。彼も許さないだろう。
「今は周平の方が情報力は上だ。調べてくれないか?」
「心当たりを調べてみますよ。それより相談役と次の戦略を話されているんですか?」
「いや、妙に慎重になっている」
 やはり相談役は舅と距離を置きだしている。
「赤坂の100億円での処分をそちらから取締役会に上げてもらいませんか?」
「どうして?」
「Sハウスに意思表明しないと話は消えますよ」
「分かった」
 舅は浮足立ってしまっている。

















スポンサーサイト

テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブロとも一覧

Anonymous Note

写真とか小説(オリジナル)とかそのほか色々

自由少女  ~Dear you ~

ビーチサイドの人魚姫

龍の記憶 <きらきら@躁狂流星群>

蒼井凜花の日記
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR