夢追い旅 小さな幸

小さな幸

 藤尾の地上げ事務所から帰りがけにマキの携帯に留守電を入れた。周平がホワイトドームの前に来た時にさわめきの中からマキの声がした。
「マドンナは?」
「私のマンションの近くに両親といるわよ」
「それならいい。柳沢に気を付けろと言っといてくれ」
 それだけで切った。時計を見ると9時を回っている。ドアを開けると、でか鼻さん達が一列に並んで飲んでいる。団長が黙ってビールの小瓶を出す。
「何か作ろうか?」
「特製の焼そばで、カオルは?」
「今日フランケンに病院に担いで行ってもらったのよ」
 そう言えばいつぞや棺桶を運ぶ大きな男がカウンターで飲んでいる。
「どうした?」
「急にもどしたのよ。お腹の子が心配なので病院に運んだの」
「それで?」
「つわりにしては早すぎるし取りあえず今日泊まって明日精密検査をしてもらう。このまま出産まで預かってもらおうかなと思ってるの周平は?」
「そのほうがいい」
「まだ子供は降ろしたほうがいいと言われているの」
 団長もビールの小瓶を開けて飲む。
「それと入籍もしないと子供の行き所がないわよ」
と言いながら婚姻届を引き出しから出してくる。
「明日遅刻できるかな?周平がカオルにサインさせてね。喜ぶから」
「分かった」

 









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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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