夢追い旅 小さく見えた

小さく見えた

 嫌な予感がして、轟に柳沢の張り込みを頼んで、ケイ君には記者のねぐらとなっているアパートに再び隠しカメラを取り付けてもらった。あのねぐらについては轟はどんな作業をしているかは明かさない。どうもこれは黒崎との契約なのだろう。
 休みの今日は2階の古い物干しを潰して部屋を増築する工事に入っている。どうもこのあたりは増改築未登記は当たり前のことのようだ。フランケンの友達が3人来て朝から鋸を引いている。せめて、カオル母子の部屋を作ろうと周平が提案した。団長とでか鼻さん達はキャバレー公演で朝から出ている。カオルの代役で17歳の家出少女が参加している。
 カウンターには早くも常連が3人勝手に入って飲んでいる。
「引っかかったぜ!」
 ケイ君がカメラを持って入ってきた。
 カメラを再生して見せてくれる。
「時間は22時05分、ドアをこじ開けて侵入。ほら柳沢の顔だろ?」
 間違いない。
「部屋を特定するためにアイドルのブロマイドを張っておいた。もちろんセットした時に撮影もロシアの少女に頼んだ。会いたがっていたぜ」
 ということは轟はどこかでまかれたのだろう。
 周平と記者が同一人物とはまだ気づいていない。
 ケイ君は冷蔵庫からビールの小瓶を二本出してきてあける。
「ケイ君も何かまともな仕事についてはどうかな?」
「それや無理だぜ!」
「産まれてくる子供のおじさんだからな」
「おじさんにしてくれるわけ?いつまでもそうやなあ」
 周平はポケットから1万札を2枚出す。
「でも心配なんだな。昨日もカオル覗いたがなんだか半分くらいに小さくなって見えたさ」
「ああ心配だよ」
 ケイ君には本音で話せる。









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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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