夢追い旅 過去の扉

過去の扉

 ホワイトドームで二人きりになったのは11時半を回っていた。団長が下で余ったおでんを2階の部屋で鍋でもう一度温めてくれる。周平はビールとウイスキーを持ってあがる。
「何を持って帰った?」
「日記よ。大学ノートに書いていたのが3冊見つかった。大学に入った頃から事件の2か月前まで」
「見せてほしいな?」
「見せない。恥ずかしいの。もう一人の私の裸を見られるような」
 二人で黙って乾杯をする。
「どちらを愛していたんだ?少し気になるな」
「ずっと悩んでいたようだわ。でも最後のノートがないので分からない」
「記憶は戻らないか」
「そのほうがいいのじゃないかと今は思っている」
「そうだなあ」
 なんだか団長の意志に従いたいと思った。これは新しい出会いで恋なのだと思う。
「でも京都の下宿にしては長かったな」
「実は怒らない?」
「ああ」
「通天閣のある街に」
「まさか?」
「伯母さんに会いに行ったの。でもね、周平の書いていたアパートはなくなっていたの」
「古いから立ち退きなったんだな」
「私伯母さんに会いたいの」








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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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