夢追い旅 銀行管理

銀行管理

 新聞を見て、自分の会社の人事を見るとは周平は呆れた。M銀行から副頭取が顧問の肩書でM商事に来るようだ。さっそく朝一番に内線で相談役から部屋に呼ばれた。
「どうぞ」
という声で相談役のドアを押す。
 相談役の前のソファに白髪の紳士が掛けている。周平が名刺を出すと、
「まだ名無しだからね」
と笑う。
「新聞を見た通りだよ。しばらく君の部屋を開けてもらいたい」
「顧問室ですか?」
「それと会社の歩き方を教えてあげてほしいんだよ」
 相談役が冗談のように言う。
「定年でのんびりと考えていたんだが、もう少し頑張れということで。だが銀行員人生だからね。会社の常識というのがない」
「どこまで?」
 これは相談役に向けた質問である。
「詳しくは言えないのだけど、銀行管理になったと思えばいい」
「そんなことは」
 顧問が笑いながら否定する。どうやらいずれ顧問が社長か会長になって運営をするような感じだ。どこまでを伝えるかこの辺りが難しい。この人事は黒崎にも情報はなかったようだ。これはM銀行の頭取の意志だろう。
「赤坂は片付いたらしいね?」
「借り入れは終わりましたが、問題は片付いていません」
「そうか」
 顧問は予想通りというように頷く。
「これから会長室と社長室に行く。まあ…」
「ご苦労様です」
 周平のその声を聴いて、顧問はにっこりと笑う。組み易い上司なのかもしれない。











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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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