夢追い旅 B勘

B勘

 さすがに定年間際まで銀行員だっただけはある。顧問は一日中書類を見ていても飽きないらしい。時々思い出したように質問をしてくる。非常に常識人の質問なのだけども、M商事を理解するにはあまりにも常識人過ぎる。1引く1はゼロにならない。
 ただ周平には声をかける人が1名増えたことで動きずらい。談合と言っても、それは何の?という具合ですぐに外に出てゆけないのである。
「遅いわ」
 呼び出したミーがへそを曲げている。
「旗手社長は?」
「言うだけ言ったら飛び出していった」
 その姿が見えるようだ。ミーも言いながらくすっと笑っている。
「周平は代議士に運ぶお金がどこから出ていると思っている?」
 ミーがパソコンを開きながら尋ねる。
「B勘だからね。本社の経理部長辺りが汗を流してるんだろうね?」
「この会社は社長が仕組みをこしらえているの。実は私はそれの担当」
「まさか」
「そのまさかよ」
 パソコンの画面に会社が並んでいる。
「今は7社だけども、これからどんどん増えるわ」
「この会社の社長はあの小林?」
「そう。裏方の人間が社長の名前を貸している。ここでB勘を作り出しているの。この会社は風俗の仕事をしている」
「ミーが社長だね?」
「お釜クラブ。私のねいさんがママをしているわ」
 なるほど。本体の事業ではないところからB勘を生み出しているわけだ。
「もう私では支えきれないの。周平に見てもらえと言ってたわ」
「これはラブホテルか」
「もう25軒になるよ」
「なるほどなあ。M商事は経理部長が担当しているので、挙げられてばかりだ。税理士は?」
「腐れ税理士がいるわ。持ち出しは禁止、ここで見るの」










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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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