夢追い旅 会談

会談

 ここ連日会長室で会長、社長、相談役の三者会談が続いている。その間、顧問はその会議には全く参加せず、部屋の中で書類三昧である。今日は組織図の説明を朝からさせられている。周平は呼びかけられるたびに、指名された人物の派閥の説明とコメントを要求される。それで人事部長を呼びましょうかというと、君の目で見たコメントがほしいという。
「君はこの会社で出世したいと思う?」
 コーヒーが運ばれてくると、急にこういう質問が始まる。舅のように煙草を吸わないので助かるが。
「確かに初めの頃は出世したいと思ってましたが」
「が、今は?」
「足の引張合いでは何か虚しいように」
「なるほど、思ったより大人ですね。幾つですか?」
 どうも大学の教授に質問されているような気がする。
「35歳になります。バツイチですがね」
「子供は作りなさい」
「そうですね」
 カオルの顔が過った。
「私も59歳までは頭取争いをしてましたね。それが副頭取になった途端憑き物が落ちたようにどうでもよくなりましたよ」
「何だかよく似た気持ちです」
 最近とくに出世したいという気持ちがなくなった。
「少し私に力を貸してください」
 顧問が真すぐに周平を見つめて言った。







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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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