夢追い旅 黒い霧
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黒い霧

 いずれ取締役の舅から、詳しい話があるだろうと思っていたが、それらしき兆候もなく、本人も出張らしく会社にも姿が見えない。とくに呼び出しもないので、何件かの仕掛中の作業を続けている。
 Kジャーナルを調査してみる。これは業界紙と言われる類の会社で、表向きは経済情報誌を無理矢理会社に売りつけている。主催者は国崎、昔は有名な国会議員の私設秘書をしていたとある。何件かの有名な事件に顔を出している。M商事の代表者の件もその中に含まれているようである。
「お出かけですか?」
「ああ」
「匿名の仕事なんですね」
 加瀬係長が、にやにや笑って声をかけてくる。
「取締役からそのように聞いていますよ。手伝うことがあったら何でも言いつけてください」
「で、取締役は?」
「今朝から会長と沖縄に出かけていますよ。会長は何か動き出すときは、沖縄に出かけるのですよ」
「君がここでは一番古かったかな?」
 周平は、打ち合わせソファーに座り直した。
「いえ、立花ですよ。もともと今の会長の取締役の時の運転手だったんですよ」
 この男は社内情報は詳しい。そういえば、周平の部署に目立たない社員がいた。
「いてるかな?」
「いますよ。取締役の運転手だから、今日は暇だから下の喫茶店で新聞でも見てますよ」
「呼んでくれないか?」
 いうより早く携帯をかけている。いたようだ。
「こちらから行くと言ってくれ」
 周平は立ち上がって、エレベーターに向かっている。
 確かに、気まずそうに頭を搔いている。どうもここが役員の運転手のたまりらしい。
「ちょいと調べもので・・・」
「いや、ちょっと尋ねたいことがあったんだ。昔から大きな動きがある時は、沖縄に出かけていたと?」
「加瀬さんですか?私は行ったことがありませんが、会長と取締役はそうですね」
「今の会長の社長交代時もおられたようですね?」
「はあ、この部署は、もともと2人社員から始まったんです」
「その時も沖縄に?」
「そうでしたね」
「Kジャーナルの国崎って知っています?」
「ええ、事務所に送りましたから」
「池袋?」
「そうです」
 やはり国崎と取締役は繋がっている。国崎は事実を伝えている。
 その時、携帯が鳴る。取締役かもしれないという予感で、画面を覗く。
 あのスリだ!






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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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