夢追い旅 風

 顧問に調査部の進行中案件の報告書を提出した。赤坂案件と柳沢問題が大きな柱になっている。顧問は受け取ると座るように促して、ゆっくりページをめくる。
「確かに鈴木部長は最初会長の右腕だったと思いますが?」
 顧問は顧問なりに会社のイメージを作り始めています。
「前回の相談役と社長戦を戦った時は確かにそうでしたが、それから柳沢さんが藤尾課長退職の件から右腕となりました。それで鈴木部長は相談役に近づいて復権に力を貸しました。銀座のママをご存知ですか?」
「会長のとは聞きました。鈴木部長の奥さんだったようですね?」
 相談役や人事部の報告が入っているようである。
「娘さんと離婚した?」
「はい」
「君は何派になるのですか?」
「ただの風ですよ」
「でも何でも知っている?」
「もうそういう情報も必要なくなると思います」
「そうなればと思います」
 顧問は笑っています。周平は数週間前に書き上げていた自己退職願をポケットから出した。
「どうして?」
「すべきことはなくなりました」
「私はそうは思いませんね。これからが本当の仕事場じゃないかと思うのですが。とくに現場を動かしてゆくには私や相談役のようなきれいごと人間では無理ですよ」
と言いながら、
「取りあえず預かります」
とポケットにしまい込む。
「めどは?」
「あと一押しです。だがこれが結構重たい」







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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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