夢追い旅 ケイ君
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ケイ君

「また珍しいところに呼び出しだな」
 銀座のはずれにあるそれでも老舗で有名だ。周平も接待で何度か入ったことがある。まだ、日の沈まないこの時間に入るのはちょっと興味がわく。
「約束は守るたちでね」
 今日は、Tシャツにジーンズというラフな格好である。
「これがもう一つの仕事着」
「ここはクラブの楽屋裏だね」
「そうです。この時間は、ここは誰も入ってこない。ビール抜くかい?」
 返事も待たずに、ビールの小瓶を抜いて渡す。
「団長と直に話したんだよ、きちっとしたサラリーマンは苦手みたいだから無理だとさ」
「嫌われたわけだ」
「大した売り上げもないスナックなんだけど」
「それで独断だけど、詐欺師の話に乗ったよ」
「詐欺師の話に乗る?」
「カオルが詐欺師だと言い張っている。詐欺師なら、俺たちのメンバーに支障がない」
 思わず笑ってしまった。
「なら詐欺師でお願いするよ」
「それで今日なんだ。あの名刺は忘れたことにするよ。馴染の詐欺師にしたよ。ここでもう一つの商売をする。ちょっとした前衛劇だよ。これでも脚本家さ」
「それこそ詐欺師だな」
「紙一重だね」
「俺はケイ君と呼ばれている。今日から10日間ここで公演、店には団長たちは出ない。店の地図はここにある。もうすぐ団長が来る。舞台の準備さ。二人で話している姿を見てもらう」
「じゃあ、この名刺を渡してくれ」
 周平は、Kジャーナル記者の名刺を出した。
 背中に、熱い視線を感じた。








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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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