夢追い旅 嫌な予感

嫌な予感

 出勤前に団長とカオルの顔を覗いた。昨日お腹の中の赤ちゃんの診察があって、女の子であることを告げられた。
「いよいよ名前を決めないとね」
 団長がカオルを励ますように言う。周平はなぜか胸が一杯になって外に出た。今日は取引先へ直行ということで、ミーと議員会館で待ち合わせをしている。未公開株の配分前に渡す現金のリストと現金の引き渡しだ。これについても代議士の不透明な配分と小林の追加配分の問題を残したままの実行である。
 待ち合わせの駐車場にすでにミーの車が入っている。周平の顔を見ると二つの黒鞄を持ち上げて歩いてくる。
「やはりだめっだたのね」
 リストの変更が受け入れられなかったことを言っている。片方を周平が持つ。二人で2億はある。これに追加の未公開株が加わる。それだけお金をかけても採算が合うと旗手社長は判断している。
 代議士の部屋に通されると、珍しく代議士本人と秘書が先に座っている。
 儀式のように黒鞄が交換される。このお金を配分される人数は未公開株の3倍ある。主要な人物だけに未公開株が渡される。というのは現株の購入資金を融資する必要があるからだ。
「例の赤坂の土地だが等価交換の話が近々に来る。その打ち合わせは君に入ってもらいたい。それに」
と言ってポケットからメモ書きを出す。
「このお金を明細通り現金で用意して、同席する彼に渡してくれ」
 周平とミーがメモを覗きこむ。3名の名前と金額がある。見たのを確認すると代議士は細かく破り捨てる。
 これで今日はお仕舞だ。
 車に乗り込むと、ミーがため息をつく。
「嫌な予感がするわ」
「ああ」
 周平も同感だ。車は暗黙の内にミーのマンションに向かう。
 








 

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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