夢追い旅 一つの終わり

一つの終わり

「会長がお話をしたいとのことですよ」
 4者会談を終えて戻ってきた顧問に声をかけられた。
 周平は会長室と向かう。会長と二人で話するのは今回が入社以来初めてだ。ほとんどが舅が同席していた。雲の上の人というイメージが強い。
「入ります」
「鈴木課長か?」
 会長はまだ離婚した鈴木姓で呼ぶ。面倒だから社内では相変わらず鈴木で通している。
 めっきり白髪が目立っていて別人のようだ。
「鈴木部長とは今も?」
「ほとんどやり取りはないです」
「そうか。赤坂は?」
「すべて完了しています」
「銀座のママがここに来たらしいが?」
「私が対応しました」
「何か言ってたかね?」
「私には出来かねる相談でした」
「彼奴は状況が分かっておらん!」
 そういう会長も同様のように周平には思える。
「君は黒崎君と懇意らしいが」
「いえ、これも鈴木部長の繋がりからで時々連絡入る程度の付き合いです」
「娘は子供ができたらしいが?」
 別れた妻は会長の実の娘だ。
「話は聞きましたがもう終わったことです。私も顧問に辞表を提出しています」
「そうかね。すべて終わったことかあ」
 会長はそれだけ言うと大きなため息をついて俯いたままである。周平は軽く頭を下げて部屋を出た。








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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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