夢追い旅 導火線

導火線

 団長に連絡を入れて、今日はNビルに泊まり込みをすることになった。旗手社長も8時にはSハウスの社長と出て行った。専務と総務部長は1時間前に会社に戻っている。ミーは黙々と段ボール箱を作って書類を分けて入れ始めている。周平は藤尾に携帯を入れて腹心を連れて運び込みを手伝ってもらうことにした。
「ここまでしないとダメなの?」
「ああ、これはYテレビの社長の仕掛けだ。小林が導火線として利用された」
「彼は意志があるの?」
「ないだろうね。ファイナンスの社長を下されて、融資が否決になったことで完全に黒崎の手先になった。Yテレビの社長からいくらかの金が出ているのだろうな」
「金には敏感な男だからね」
 周平は未公開株の3つのリストを自分の鞄に入れる。一つは試案のリストであの野党の代議士の名前はない。2つ目は野党の代議士名が加わったもの。3つ目は旗手社長の修正が入った最終版。だが総理の手元では全く違うリストになっているはずだ。
「旗手社長はどう動くかしら?」
「最悪まで読み込むだろうね」
 10時には藤尾が3名を連れてきて、まず書類から軽トラックに積み込む。それから30分遅れて4tが到着する。こちらにも3人が乗り込んでいる。4tは赤坂の地上げ現場の一室に運びこまれる。これは周平の指示だ。おそらく大規模な査察がが始まると想定している。旗手社長も同じ考えだ。
「素早い対応だな」
 轟が黒づめの作業服で入ってくる。彼はパソコンからデータを抜き出して、その他は完全に消してしまう。それから携帯や防犯カメラにも取り掛かる。
「しばらくKジャーナルを張り込んでくれ」
「彼奴らが動いているのか?」
「間違いない」
 書類を藤尾と周平が乗り込んで裏会社に運び込む。4tは2時間遅れて赤坂の地上げの一室に運びこまれる。轟は作業を済ませるとKジャーナルに走る。
 周平が藤尾と作業を終えて戻ってきたのは、薄っすら空が明るくなってきている。がらんどうになった部屋の真ん中にミーが胡坐を組んで座っている。そこにワインボトルがある。これはミーが冷蔵庫にいつも入れているボトルだ。
「後ろ姿は男だね」
「待ってたのよ。3人でサヨナラの乾杯しようよ」




















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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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