夢追い旅 世紀のスクープ

世紀のスクープ

 許の行方不明の情報が日本海で沈められたという信じがたい内容で伝わってきた。例の銀座の黒幕を訪ねたが、東京の組に軟禁されているとのことだ。黒幕が大阪と東京の調整を取っているとのことだ。
「もう限界だ」
 新社長は額の汗を拭きながら砂漠を迷っているような目で周平を見る。旗手社長の危惧がすでに出始めている。この人はナンバー2の人なのだ。
「あのリストに基づいて15人ほど経団連関係の社長に会ってきた。当社の代表会長を受けてくれる人はいない。銀行も9行回ったが取締役の派遣の話ばかりだ。さすがにあの債務を見て潰そうなんていうところはないが」
 周平は『噂の真相』の記事を見せる。
「ああ、これで新聞社からひっきりなしの電話だ」
 その時、私設秘書から電話が入った。
「明日の朝刊だ。D社長も談話に入ってくれた」
 そう伝えると切れた。
「明日のY新聞の大阪版の朝刊にD社長のベンチャー会長就任のスクープが出ますよ。社長は昼前にはD社長と正式な発表を本社でしてください。総務部長にこのリストに電話を掛けさせてください」
 ほとんど同時に、Sハウスの社長が入ってくる。
「段取りはできたか」
「ええ、しばらく飲んでから二人で出てください。記者が何人か張り付いています」
 外には轟が見張っている。周平はケイ君と部屋に戻ってしばらく飲み直しだ。
 周平も妙に体がワクワクしている。Yテレビの社長は自ら仕掛けてきたが、自分の子会社の新聞に強烈なパンチを食らうことになるのだ。
「どうなるんでしょうかねえ?」
「ここまでは旗手社長との約束だ。その後はゆっくり考える」








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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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