夢追い旅 時薬

時薬

 『噂の真相』の編集長、実は総理の私設秘書がまた政界に顔が聞くようになったという噂がある。いや総理がまた彼を必要としてきたのだろう。
 それで彼から今日の奇妙な京都祇園でのセッティングとなった。それを話したら団長が一緒に新幹線に乗ると言う。周平が祇園に行っている間に団長は通天閣に行くと言う。夜は飛田のスナックで一時一緒に仕事をしていたという姉さんとの話をケイ君に段取りさせたようだ。
 この祇園の店は旗手社長と何度か使ったことがある。部屋に通されると襖の近くにただ一人のお膳が置かれていている。隣の部屋に編集長と総理が食事をしているようだ。
「今回の大震災は予想外だったね?」
 編集長の声だ。
「会社の再建が見えなくなりました」
「でどうする?」
「ベンチャー事件は今後どういう展開に?」
 きっと総理にはこの事件の絵ができているはずだ。自分の名前が出てこないことも分かったはずだ。だから私設秘書をまた手元に引き戻したのだ。第1秘書ではできることは限られている。
「思い切り長く引っ張ることにする」
「時薬だな」
 重なるように総理の声が聞える。
「そろそろ引退の時期だ。院政を引きたい。そのためには金が欲しい」
「子会社を切り離します。負債もしっかりついていますが、それも使い道があります。仲介をお願いできますか?」
「面白い」
 これも思わず出た総理の声だ。
「Yテレビや銀行筋もこれからバブル崩壊が始まって合併狂乱時代が来る。政界も冬の時代だよ」
 その後からぽつりと、
「ひょっとしたら彼が勝ちを収めるかもな」
と総理のつぶやき。しばらく沈黙が続いてゆっくり襖があく。
「こちらで飲もうや」
 編集長が女将を呼んでお膳を寄せて、舞妓さんが入ってくる。














スポンサーサイト

テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブロとも一覧

Anonymous Note

写真とか小説(オリジナル)とかそのほか色々

自由少女  ~Dear you ~

ビーチサイドの人魚姫

龍の記憶 <きらきら@躁狂流星群>

蒼井凜花の日記
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR