夢追い旅 もつれた糸
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もつれた糸

 轟と池袋の彼の馴染の店で飲む。
「あの女は?」
「まさかと思ったが間違いない。会長の秘書だよ」
「よくあるパターンじゃないの」
「彼女は鈴木取締役のこれだ。彼女は取締役に会長の情報を流している。それに抱いたこともある」
「難しい関係だね」
 彼は考え込んで、
「ギブアンドテイクの仲で行かないか?」
と言う。
「この情報はしばらく二人の秘密にしたい」
「もう少し裏を取るのか?」
「それもあるが、この商売はフリーターみたいな仕事でね、情報は小刻みに値打ちをつけて渡してゆく。そうしないとすぐに飯の食い上げになるさ。彼女は本当はどちらのスパイかこれは興味がある」
「始めてのかたよね」
 和服姿のママが顔を出す。どうやら話していた入れあげている彼女らしい。40歳を少し越したところか。
「今日は懐かしい背広姿ね」
と言ってビールを注いでゆく。和風スナックだろう。女の子がもう一人カウンターの中に入っている。
「国崎さんはあれで皺いのさ。ある程度読めてきたら、若いものを使って済ませてしまう。それはそちらのサラリーマンの世界もよく似たもののはずだ。専務の件はちょうどいいネタだから流すよ。女は待ってほしい」
 頷く。舅と国崎に体よく使われていては危険だ。
「ところで赤坂開発はどこまで情報がある?」
「大体調べているが・・・」
「国崎さんに頼まれた?」
「ああ、大手のS建設会社、N電鉄、S銀行も絡んでいるな。それに珍しい銘柄も混じっている。今売出し中のベンチャー企業も」
 その名前が出たので小林の顔が浮かんだ。彼も重要なキーマンだ。
「ただ、それぞれが組んでいるようではないんだ。お互いに赤坂村の票取り合戦をしているように見える。お互いに値段を釣り上げている。投資額は1兆は下らないだろう」
 もう少し時間をかけてこのよじれた紐を解く必要がある。どうも本筋が見えない。
 今日は、池袋のねぐらに泊まろう。






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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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