夢追い旅 裏切り
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裏切り

 二度目の加瀬の携帯だ。
「分かりました。ベンチャー企業の子会社K開発の部長になっていますね」
 またあのベンチャー企業が登場した。
「直接会ってきますか?」
「いい。電話と住所を教えてくれ」
 電話をメモると、すぐに小林の携帯に電話を入れる。
「黒崎さんに引き合わされた、鈴木です。お宅の子会社のK開発の藤尾部長を紹介いただけませんか?」
「ああ、例の赤坂をやっている?」
「できれば、Kジャーナルの田辺で出会いたいのです」
「世話になっているということで、今から入れといたほうがいいよね。国崎さんの仕事なら」
そのまま、新橋にあるK開発までタクシーで走る。
 小林の紹介で、会うのは問題ない。
 小さな事務所である。
「いや、どうぞ」
 周平は、Kジャーナル記者の名刺を出すが、互いに面識はないようだ。
 藤尾部長は赤ら顔で現場のたたき上げと言う感じだ。
「今日の新聞ですかねえ」
「まあ」
「小林さんはうちの会社の取締役でもありますから、お答えできることはお答えしますよ」
「この開発は、M商事でおられた時からかかわれていたと?」
「すでに調べられているわけだ」
「元はどちらから持ち込まれた話だったんですか?」
「M商事の会長です。会長がS銀行の頭取から誘われたという話でしたよ。そのあたりは私にはわかりません。ただ、融資はスムーズに行われましたね。ところが、当時の不動産部長はあまり乗り気じゃなかった。部内で、逆に足を引っ張られることになった。これは書かないでくださいね」
 藤尾部長は、顔をしかめて小声で言う。
「地上げの資金ですから不明金は多いのです。それを不正な使い込みと責められたんですわ」
「指示者の会長は?」
「冷たいもんですわ。でも、地上げは領収書なしが原則ですからね」
「開発部の柳沢部長は?」
「彼は私の下で係長をしてましたよ。それが使い込みの証言を」

 








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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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