夢追い旅 1枚の写真
FC2ブログ

1枚の写真

 3度ほど携帯に連絡して、ようやく藤尾部長の方から連絡があり、昼過ぎに赤坂の開発中のビルで会うことになった。どうも休暇を採っているのではなく、ここに緊急避難したようだ。指定された場所を加瀬に連絡して調べてさせる。
 かなり入り組んだ露地の中にある。昔ながらの4階建てのアパートで、最近の地図では名前が消されているということだった。
 赤坂でぺんぺん草の生えている道があるのも珍しい。もちろんアパートにエレベーターはついていない。1階から一部屋ずつドアを確認してゆく。どこも人が生活している気配がない。
 最上階に来て、半開きのドアを見つけた。
 確認のために、携帯に連絡を入れる。すると、ジャンバー姿の男が手招きする。
「どうしたんですか?」
 部屋の真ん中に机が一つあるきり。藤尾部長は、作業着姿で一人で座っている。先ほどのジャンバー姿の男は入れ替わりに部屋を出ている。
「あなたは何者です?」
「Kジャーナルの記者ですよ」
 仕方がないという感じで、冷蔵庫からコーヒー缶を取り出す。
「あなたと会ってからすぐに、匿名で脅しの連絡がありましたよ」
「知っている人?」
「柳沢だ」
 彼はまだ迷っているようだ。
「ここは?」
「K開発の地上げ事務所の一つさ」
と言って、窓を開ける。
「この横の、クリーニング屋のシャッターがあるところは、M商事のダミー会社の事務所だよ。昔はあそこからこの窓を眺めていた。現場では、馴染なんだよ」
「なぜ柳沢開発部長に脅される?」
「力になってくれるか?」
「ああいいとも」
「でも全てを教えるわけにはゆかない」
「それも通りだ」
 彼はポケットからプロマイド写真のような1枚を出した。
「これは柳沢から送られてきた写真の中の1枚だ」
 仰向け全裸の男が大の字になっている。明らかに藤尾だ。
「この隣で上半身裸の背中を見せている髪の長い女は?」
「2課のマドンナだ」


  





スポンサーサイト

テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブロとも一覧

Anonymous Note

写真とか小説(オリジナル)とかそのほか色々

自由少女  ~Dear you ~

ビーチサイドの人魚姫

龍の記憶 <きらきら@躁狂流星群>

蒼井凜花の日記

大阪からすぐの通信制 京都美山高校
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR