夢追い旅 様子見
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様子見

 分かれるという周平を轟が呼び止めた。
 喫茶店に入ると、ビールの小瓶を頼む。
「傷にはよろしくないですね」
「ちょっとひっかけないと警察はねえ。いくつか話がある」
 轟は旨そうにビールを瓶ごと飲む。周平もつられてビールを頼む。
「まず、ねぐらに盗聴器が仕掛けられている」
「よく分かったな」
「あそこは俺の領分だ。この件に関係が?」
「ないと思う。ロシアの女の子が付けた。あのアパートの管理人は やくざか?」
「違う。アルバイトだよ。あのママはそんなせこいことはしない」
 ケイ君に直接聞くしかない。
「柳沢は独身だ。このゲーム屋の一室にここのママと同棲している」
 轟は住所と店の名前を書く。
「そんな恰好で行くなよ。れっきとした賭博屋さんだからさあ。女の兄が刺青ものさ。前回、調査の時に素性を調べた。誰でも彼でも相棒にしたら身が持たない」
「兄の線が濃いというわけだ」
「そちらはどちらに付く?」
 どうも相棒として周平を見てくれているようである。
「国崎さんが悩むように今すぐに答えを出すのは難しい」
「殺人が絡むとなると、とんだ巻き添えを食らうことになる」
「それにこの問題はまだまだ奥が深いように思う。まだようやく手下の動きがつかめたところだ。黒崎さんが何を考えているのかもわからない」
「まあサラリーマン崩れが関わる事件ではなさそうだな」
 轟はひょいと立ちあがると松葉つえを押し出すように出てゆく。




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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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