夢追い旅 捨石
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捨石

 Kジャーナルの黒崎は封筒を受け取ると、中身が分かっているかのように、そのまま印刷の方に回した。3日後、記者田辺一郎のペンネームで貧相な月刊誌が発売された。それでも、公称5万部の発刊らしい。
 刷り上がった現物を舅の取締役のテーブルの上で見せられた。
「この情報は?」
 周平が田辺一郎であることを知っているはずだ。それでも用心して、部屋の中を見渡した。取締役の執務室で、秘書は入れていない。
「黒崎さんのところです」
「それは分かっている」
「話し合いはできてないのですか?」
 これは周平の本音である。黒崎のところに送ったのは取締役だ。
「言わんとすることは分かっている。今彼とも微妙なのだ」
「このままでは、私もどちらに歩いて行っていいのか分かりません」
 取締役はテーブルをコツコツと単調に叩く。
「あの日までは、確かに相談役側にいた。だが、監査役が殺され、今回この記事が出た。判断が大きく狂ってきている。それは黒崎さんも同じだ」
「よく分かりませんね」
「会長が動き出す。この記事が脅しだよ」
「警察の動きを会長は独自のルートで止めた。それを黒崎さんが突いた。柳沢は能無しだ。そんな男と比べられるとは落ちぶれたものさ」
「この記事は?」
「M商事の事業をあのベンチャーに移せと言っている。これは、黒崎さんのバックの意志だ」
「バック?」
「詳しくまだ分からない。君は私の大切な捨石なんだ。この捨石が生き残りを決める。ある意味では黒崎さんにとっても大切な捨石だ。きっと君はその野獣の感で生きる場を見つける」














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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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