夢追い旅 誘い
FC2ブログ

誘い

 マキから今度は反対に呼び出しがあった。
 銀座のクラブの一つだが、少し中心地から離れている。でも顔のささない店としては繁盛しているようである。
「珍しいね。いつものホテルのレストランじゃなくて」
「そんなにセックス好きじゃなくってよ」
 今日はOLらしくない派手な夜の女の格好だ。
「たまには、私のお力にもなってよ」
 半ば強引に間仕切りのある一角に案内する。
 田上専務に、社長の顔が見える。
「鈴木君は彼女の友達なんだってね。めったに話したこともなかったが」
 社長が鷹揚に周平の肩を叩く。
「今度は、君に今の部を任せたいと、おっしゃられている」
 田上専務の顔がいわくありげに歪んでいる。
「マキ君の評価も高い」
「いえ、まだまだひよっこですよ」
「そんなことはないよ。手が早いんだから」
 マキが口をはさむ。
「今度この店を彼女がするそうだ」
 とうとう社長からグラブの資金を引き出したのだろうか。すっかり、ママ気取りだ。
「君の舅は少し現場に出てもらおうと考えている。会長も相談役のポジションがもうすぐ空くからね」
 これはどうやら監査役という駒を失ったことを言っているようである。どうもそんな簡単な成り行きではなさそうだが。どうも、とんでもない危険なところに捨石されたようである。どんな言質も取られないことだ。
 話は終わったようだ。女の子が3人入ってきてソファに座る。マキは当然のように社長のそばに掛ける。この姿は、会長からクラブを買って貰った、映子の実母親のママそっくりである。ポケットの携帯のバイブレターが震える。周平はわざとらしく覗き込んで、
「これから談合に呼ばれました」
と立ち上がった。










スポンサーサイト

テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブロとも一覧

Anonymous Note

写真とか小説(オリジナル)とかそのほか色々

自由少女  ~Dear you ~

ビーチサイドの人魚姫

龍の記憶 <きらきら@躁狂流星群>

蒼井凜花の日記

大阪からすぐの通信制 京都美山高校
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR