夢追い旅 金縛り
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金縛り

 まだ外は3時で、眩しいくらいの太陽が差し込んでくる。秘書課の女子社員が、重役を送り出して笑顔を戻して玄関に戻ってくる。周平を見つけたのか、再び営業スマイルになって駆け寄ってくる。
「ご結婚になってから、ご無沙汰ですね」
 数か月前まで、何度か関係のあった仲である。
 周平は軽く頭を下げて、M商事のガラス張りの10階建てのビルを眩しそうに見上げる。垢抜けていてまた他人のような顔に戻って、立ち去ってゆく。彼女には今の舅を紹介してもらった恩もある。でも舅の女の一人でもある。会社といっても裏から見ると全く違う地図で構成されている。そんなことも彼女から教わった。
「東京にもスモッグのない日があるんだな」
 いつものように歩き出している。とくに今日はしなければならない仕事も約束もない。ただあの部屋から出たかったのである。あの封筒も、朝、取締役から渡すように頼まれたものである。中身は、数字が並んでいるだけである。もちろん周平にはこの数字の意味が分かっている。加瀬係長はそういう数字を運んでいながら、何も分かっていなかったのである。まるで自分が飲み歩くことで仕事を果たしていると誤解していたのだ。
 周平は故意にビル街から路地に入った。
 どこか自分の中の歯車が狂い始めている。ここ数日、神経が異常に高ぶっているのである。今日の仕事を係長に振ったのは、やはり拙かったのだろうと思い出している。係長が渡された封筒の意味合いを知る力があれば、彼は課長の階段を上る道が開けてゆくのだ。まあ 心配はなかろうと今の不安な気持ちを追いやるように頷く。
 今朝、周平はうなされて、女房の映子に揺り起こされた。周平は襲われたようにたじろいで、ベットから転げ落ちた。だが落ちたのはいいが、金縛りにあって起き上がれないのだ。初めは周平を起こそうとしていた映子だったが、固まって目を剥いた周平を投げ出して、近寄ろうとしない。周平は気を失ったわけでないから、その風景を見ている。映子は瞬間的に携帯をつかんで金切声をあげている。
「どうしよう!」
 父親にかけたのだろうか。金縛りは解けない。
「あんた来てよ!」
 どうも今でも続いているボーイフレンドのようである。この件は、舅から写真を見せられて説明も受けていて、その他に何人かそういうボーイフレンドがいるようである。この関係を知らずにするのが、この結婚の条件であったわけである。舅は、映子のこのことを病気と言っている。
 なぜ周平は舅の提案にその時乗ったのだろうか、そこには今書きつくせない闇がある。
 まだ外は3時で、眩しいくらいの太陽が差し込んでくる。秘書課の女子社員が、重役を送り出して笑顔を戻して玄関に戻ってくる。周平を見つけたのか、再び営業スマイルになって駆け寄ってくる。
「ご結婚なってから、ご無沙汰ですね」
 数か月前まで、何度か関係のあった仲である。
 周平は軽く頭を下げて、M商事のガラス張りの10階建てのビルを眩しそうに見上げる。垢抜けていてまた他人のような顔に戻って、立ち去ってゆく。彼女には今の舅を紹介してもらった恩もある。でも舅の女の一人でもある。会社といっても裏から見ると全く違う地図で構成されている。そんなことも彼女から教わった。
「東京にもスモッグのない日があるんだな」
 いつものように歩き出している。とくに今日はしなければならない仕事も約束もない。ただあの部屋から出たかったのである。あの封筒も、朝、取締役から渡すように頼まれたものである。中身は、数字が並んでいるだけである。もちろん周平にはこの数字の意味が分かっている。加瀬係長はそういう数字を運んでいながら、何も分かっていなかったのである。まるで自分が飲み歩くことで仕事を果たしていると誤解していたのだ。
 周平は故意にビル街から路地に入った。
 どこか自分の中の歯車が狂い始めている。ここ数日、神経が異常に高ぶっているのである。今日の仕事を係長に振ったのは、やはり拙かったのだろうと思い出している。係長が渡された封筒の意味合いを知る力があれば、彼は課長の階段を上る道が開けてゆくのだ。まあ 心配はなかろうと今の不安な気持ちを追いやるように頷く。
 今朝、周平はうなされて、女房の映子に揺り起こされた。周平は襲われたようにたじろいで、ベットから転げ落ちた。だが落ちたのはいいが、金縛りにあって起き上がれないのだ。初めは周平を起こそうとしていた映子だったが、固まって目を剥いた周平を投げ出して、近寄ろうとしない。周平は気を失ったわけでないから、その風景を見ている。映子は瞬間的に携帯をつかんで金切声をあげている。
「どうしよう!」
 父親にかけたのだろうか。金縛りは解けない。
「あんた来てよ!」
 どうも今でも続いているボーイフレンドのようである。この件は、舅から写真を見せられて説明も受けていて、その他に何人かそういうボーイフレンドがいるようである。この関係を知らずにするのが、この結婚の条件であったわけである。舅は、映子のこのことを病気と言っている。
 なぜ周平は舅の提案にその時乗ったのだろうか、そこには今書きつくせない闇がある。





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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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