夢追い旅 団長の過去

団長の過去

 喫茶店の2階に入ると、ケイ君がちょうど窓際の席にかけた時だった。
「ご苦労さん!」
「いや、こんなことってあるんだなと今でも信じられない気持ちだよ」
 ケイ君が鞄からノートを出してくる。
「少し小さい写真だが、その当時の大学の教授に会えてこの写真を借りてきた。今学部長をされていて、よくその当時のゼミのメンバーのことを覚えていてくれた。時々集まりをしているようだが、顔を見せないなと笑っておられた」
 よく泊りがけでセミナーハウスでゼミの飲み会をしていた。
「サングラスの男の名前は太い田の黒と書いて太田黒という。この写真と比べてみても本人と間違いない。教授もよくその名前を憶えられていた」
 今度は切抜きの新聞記事のコピーを見せる。
 リンチ事件で逃走。その中に太田黒の名前が出ている。
「その捜査で当時の刑事が訪ねてきたそうだ。その時松七五三聖子も一緒に逃げているという情報があった」
 松七五三聖子か。懐かしい名前だ。
 あの頃周平も彼女からその活動グループからの誘いを受けていた。彼女は周平の他にも付き合っていた男がいたようだった。その一人は周平の友達の一人だった。妙に二人は松七五三聖子の名前を故意に伏せて付き合っていたようだ。彼は小説家になると言って、その話ばかりしていた。周平は東京に出て金を稼ぎたいと考えていた。
「この並びの前列に君が写っている」
 確かに間違いない。その横にいるのがその友達だ。
「ゼミの全員が参加していたわけではないが、この写真の中には女性が5人、調べてみたが団長の姿はない。太田黒の言うのが事実なら、その友達の横に写っている女性松七五三聖子は団長だ」
 ケイ君は団長のマント姿の写真を出してくる。
「団長は大やけどで整形をしている。背格好も似ている。でも本人は記憶がない」
 周平は言葉も出ない。調べてくれと頼んだのだが、これからどうするのか判断がつかない。
「しばらく伏せておいてくれないか?」
「それはいいけど。でも団長も周平には明らかに何か感じている」
「それはどうして?」
「そちらと関係ができてから、俺との関係はぴったり止まっているんだぜ」





















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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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