夢追い旅 糸口

糸口

 藤尾とは11時過ぎまで飲んだ。
 ホワイトドームに戻ると、珍しく店の電気は消えていて2階の蒲団に団長が包まっている。周平は松七五三聖子の学生時代の顔を思い出して、蒲団の中の背中を抱いた。確かにピクリと動いた気がしたがいつの間にか眠ってしまった。
 朝は5時間ほどの睡眠で飛び起きて、私服に着替えてタクシーに飛び乗った。
 6時過ぎに、藤尾の描いてくれたクリーニング屋の隣のマンションの前に着いた。轟には何度か連絡を入れたが応答はない。往来はまばらなので、1時間ほどマンションの玄関が見える範囲で5度ほど往復をした。轟の気持ちがよく分かる。ロシアの少女にも2度携帯を入れているがこれも応答ない。ちょうど道路の駅側の端に来た時に、玄関からサラリーマンの男女が別々に出てきた。
 一人がマドンナの秘書課の女性に間違いない。周平は新聞紙を広げて、電信柱に隠れる。ただ彼女をこのマンションで発見しても問題は片付かない。このマンションにいるのが舅なのか、柳沢なのか、果たして一人住まいなのかだ。
 8時になって、直行の連絡を課に入れた。
 入れ違いに団長から、
「背広じゃないから心配したよ」
と連絡があった。それから10分してロシアの少女から連絡があり、こちらに準備してきてくれることになった。
 マンションから周平の顔見知りの出入りはない。半時間ほどで彼女が到着した。
「鍵開けるのね」
 そういうと堂々とマンションの中に入ってゆく。501号室に着くと、電気メーターを確認している。それから手袋を出して周平にも渡す。あまりにも簡単に鍵が開く。周平だけが靴を脱いで部屋に上がる。やはり誰もいない。彼女が無言で小型カメラを渡す。
 衣装ケースに男物の背広が掛かっている。ポケットに手を入れるが何も出てこない。箪笥の上を見ると、二人で並んで写っている写真がある。柳沢だ。日付も新しい。彼とは別れていなかったのだ。ということは舅がはめられたことになる。拡大写真を2枚撮った。念のため彼女の部屋も背広が写るようにとった。










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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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