夢追い旅 はめられた

はめられた

 交互に寝ることにした。
 昼過ぎに交代する。轟の報告では二人はどこにも出ないで部屋に睡眠中の札がかかっているという。周平は廊下にいつまで立っていられないので、地下の駐車場までワゴンを覗きに降りる。相変わらず停まったままだ。運転手のチンピラが車に戻ってきていて、いつの間にかマドンナの旅行鞄がある。
 4時には轟とバトンタッチする。ワゴンにマドンナの旅行鞄が運び込まれていた件は伝えた。間を見てチンピラの写真を撮っておくと言っていた。
 6時に携帯が鳴って慌てて目を覚ました。動き出したのか。
「どこに行ってるんだ?」
 ケイ君の声だ。
「仕事で泊りなんだ」
「今団長とサングラスが会っている」
「あの事務所に出かけた?」
「いや、領事館に入った。もう1時間になる。最近の団長はピリピリしていたからね。何かあったのかい?」
 カオルの妊娠の話はまだ漏れていないようだ。
 ドアが開く音がして、轟の顔が覗く。
「ワゴンがいない」
「二人は?」
「貸切風呂に入っている。入るのも確かめた。今二人で出てきて急に清算をするようだ」
「それはなんだ?」
「分からん。こちらも清算を頼んでいる。そちらは見張りながら車に乗り込んでくれ」
 轟は慌ただしく部屋を出てゆく。
 大広間に出ると、二人がソファにかけている。ベルボーイがタクシーを手配したようだ。あの旅行鞄がなくなっている。ワゴンが運び去ったのだ。でも旅行鞄を積み込んだのにまだワゴンは停まったままだった。
「やられたかもしれんな」
 轟の予想通りにタクシーはわざわざ五反田のマンションまで走った。
 






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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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