夢追い旅 敗戦処理

敗戦処理

「どうだはかどっているか?」
 不動産事業部に挨拶に行く。舅の最初の言葉がそれだ。血色はいい。柳沢の机に座っている。
「彼が」
と相談役の次男を紹介する。もう一つ線が弱そうだ。
 壁に大きな赤坂の地図が貼ってある。
「青い部分は?」
「すでに売却済の部分だ。800億ほどある。この黄色部分が次の売却予定地。600億はあるな。これは品川の土地に充てる」
 品川と聞いて藤尾の話を思い出した。ベンチャー企業が買い上げていた土地が確か品川だった。藤尾の言うには将来ここから新幹線が出るというのだった。
「この赤い部分は?」
「これが問題だ。土地と建物がまとまっていないうえに、ここに合わない金を集めている。この損害を埋めるのに今までの利益で収まるのかよく分からない。ここは底地から買いに入っている。立ち退きの即決和解についての書類がないんだよ。前の藤尾部長の係った部分が多い。その後を柳沢か継いでいるから尚たちが悪い」
 九州に行ってから舅は雄弁になった。
「やはり赤坂は手放すのですか?」
「会長はもう身の保身に走ってるからね。変わり身の早い人だ」
「足の抜けない柳沢がいますよ?」
「そう問題だね。彼は視野が狭い。勝ち負けにこだわりすぎる」
 でもあんたの弱点は女ですよと口に出そうになった。これは一度マドンナの件は洗いなおしたほうがよさそうだ。
「彼女と別れたのか?」
「いえ、一度会ってと思っています」
「未練があるか?」
「未練じゃないのです。新しい出発のけじめです」
「マキ君かい?」
「いえ」
今の気持ちは舅には一生理解されないと思う。

























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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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