夢追い旅 野望
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野望

 翌日ベンチャーの旗手に呼ばれて、昼過ぎにNビルの社長室に入った。黒崎曰く気に入られたようだ。不必要なことをしゃべらないのがいいらしい。
「ここは古い仲間ばかりいる。銀座の本社は顔だが、あそこは表の顔だ」
 そう言うと、若い秘書を紹介した。
「出入りは彼女の許可がいる」
 目力の鋭い冷たい感じのする美人だ。背は周平とあまり変わらないから170センチはあろうか。
 彼女が社章と名刺を渡してくれる。秘書室長とある。
「黒崎さんからお聞きですか?」
「ああ」
「いいのですか?」
「いいよ」
 そんなのどうでもいいというような響きだ。
「ミー今日の予定は?」
 猫の名前のようだ。
「3時から役員会議で銀座で6時までです。6時半S銀行の頭取と会食です。それから・・・」
 説明が続いているが、社長はそれとは関係なく引き出しからファイルを出してくる。でもミーはそんなことは無関係に明日の予定まで入っていく。
「ミーは3か月前まで銀座のグラブにいたんだ」
「またその話ですか?」
「此奴の秘密はいずれ彼女から聞くといい」
 話が終わらないうちに、ファイルを広げて次の話に移ってしまっている。
「赤坂の残りを叩いて買い取りたい。ただこちらで調べてみたが、不良品が多い。藤尾に調査させてみたが、この黄色の部分がババになる恐れがある」
 よく調べている。柳沢はもともと再開発ということを考えていない。見よう見まねで買い込んで見せているに過ぎない。その点、藤尾は地上げの基本を心得ている。主要な土地を押さえると、後は安く買いたたく気でいる。
「この記事を次は書くんだ。今度は自分で文書を練ってくれ」
 もうコートを手に外に飛び出している。
「社長あんなにしゃべったのは久しぶり」
 ミーが突き放すように言う。

















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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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夢人

Author:夢人
これは30年前から書き始められた小説です。
日記風に手書きされた原稿にもう一度読み返して書き加えたものもあります。この小説は本来活字にはしないことにしていましたが、某社長がなくなれた記念碑で発表を決意しました。

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